現実の見方

 衣類加工の零細業者で働く人たちを、ただ映しているように見えながら、構成にもカメラワークにも、周到な計算がある。ドキュメンタリー『苦い銭』(フランス・香港、ワン・ビン)のスリリングな面白さは、目の前のものを見落とすまいとする監督の執念によって、成立しているのだ。
 人間のうさんくささと面白さ。ワン・ビンのカメラは、現実の見方を更新させる。

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