叫び

 人は、番号ではない。その他大勢の一人でもない。『わたしは、ダニエル・ブレイク』(英国・フランス・ベルギー、ケン・ローチ)には、労働者個人の主張がある。
 ダニエルは、病気で大工の職を失う。技能がないために転職先もないし、保証金さえ打ち切られようとしている。あまりに複雑な制度は、個人の事情を考慮できない。真に補助が必要な人を支えられないのだ。
 多数でない、目立たないゆえに深刻な人々の叫びを、ローチは聞き逃さない。

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