少女の死


 観る者にイライラ感をもたらすほど煮え切れない少年。『牯嶺街少年殺人事件』(台湾、エドワード・ヤン)は、彼が最愛の少女を刺殺するまでの背景を長尺で描出する。
 日中の影を踏まえつつ、少年少女の青春と、台湾の世相を浮き彫りにしただけではない。原理に固執して崩れていく男たちと、自分に忠実であるゆえに圧迫からは自由でありたいとする女たちとのせめぎあいでもある。少女の死は必然だったのだ。

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