日本の抑制手段


 集団のリアリズムに徹した1967年製作の岡本喜八版。阿南陸軍大臣昭和天皇の心情をとらえた2015年の原田眞人版。1945年8月15日の戦争終結を伝える新旧2本の『日本のいちばん長い日』(日本)は、玉音放送が流れるまでのてん末を再現している。
 敗色濃厚の現状を認めず、本土決戦による国民玉砕も辞さずと考えた日本の閣僚にとって、降伏に向けた政策の転換や軍隊の抑止は、容易なことではなかった。諸外国の実力行使がなければ、戦争終結に踏み切れなかったろう。
 緊急時にバランス感覚を失いやすい日本にとって、唯一の抑制手段は、力ある他国の意向だ。外部勢力の利用は、今日もなお、有効である。

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