孤立感


 貧困が目立つのは、国全体が貧しいときではない。成長を遂げ、格差が生まれてから、初めて意識されるものだ。電気も施設も乏しく、殺風景な山地で家畜や畑仕事に精を出し、暗い室内で食事する家族に痛々しさを感じさせるのも、彼女たち自身が、もはや境遇が順風ではないことを自覚しているからだ。
 貧しさゆえに『三姉妹〜雲南の子』(フランス・香港、ワン・ビン)の少女は、父や妹たちと離れ離れで暮らしている。彼女は、畑仕事に一日追われ、勉強もわずかしかできない。他の地域に生きる同じくらいの少女のような自由さが、確保されていない。
 質素ゆえの豊かさなどという甘さは、彼女たちの厳しい生活には存在しない。
 少女の母は家出した。出稼ぎの父は、少女を引き取る意思はない。
 山の斜面に吹き荒れる強風は、幸福から取り残された少女の孤立感を体現しているかのようだ。

 

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