晩年


 現代アートの収集に生涯を費やした夫婦にも、エンディングが近づいてきた。美術館に作品を寄贈したあと、夫のハーブが死に、ドロシーは、習慣だった買い付けをやめてしまう。部屋いっぱいの作品を整理し、壁に飾るのは、亡き夫の作品のみ。
『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』(米国、佐々木芽生)は、コレクター夫婦の総決算とも言うべきドキュメント。
 1LDKのアパートに収まり、持ち金で買える作品だけを独自の基準で集めてきた生涯もさることながら、晩年の過ごし方も見事だ。

アクセスカウンター