作家と政治


 発表前に小説の原稿を渡して、チェックを依頼するほど、ノーベル賞作家は、政治家を信頼していた。
 二人の結びつきが、『絆と権力 ガルシア・マルケスカストロ』(アンヘルエステバン、ステファニー・パニチュリ、野谷文昭・訳、新潮社)に、詳述されている。
 マルケスが支配者を描けるのは、支配者に惹かれるがゆえ。事前に作品を見せるのは、カストロの読解力を評価したからだ。
 とはいえ、関係が深まるにつれ、政策に対するマルケスの批判が弱くなるのは、避けられない。支配者=悪という欧米の二元論をラテンアメリカにまで当てはめるべきではないが、作家自身の口からも、政治の評価を聞きたいところだ。
 

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