心構え


 Uターンしたところで、安定した生活が待っているというわけではない。『川の底からこんにちは』(日本、石井裕也)の佐和子も、都会生活になんの希望も持てず、実家のシジミ工場を継ぐことになったが、工場は経営悪化の一途をたどっていた。
 帰るべき家があり、バツイチ男との新生活も残されている分、まだ幸福と言えるのかもしれない。これ以上、堕ちようがないと、彼女のように開き直れば、父親が亡くなろうが、男に裏切られようが、持ち応えることができる。
 佐和子の心構えは、きわめて現実的なのだ。

 
 

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