土地の記憶

mukuku2008-11-01

 鹿鳴館跡地には、破綻した大和生命の本社ビルが建っている。
 鹿鳴館の痕跡を記者が同社の広報室に尋ねた。

「遺物といえば、これだけでしょうか」。見せてもらったのは鹿鳴館の基礎杭の断片だ。二十五年ほど前、本社ビル新築の際に発掘されたという。変哲もない松材の杭だが、土地の記憶がこもっていると思えばどこか重々しい。(大島三緒「文学周遊」『日本経済新聞』1日夕刊)

 わずかな記憶の証拠品も、やがて消え失せるのかもしれない。

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