友達関係は、互いの距離を意識しないことで、かろうじて保たれる。
魚喃キリコの漫画「友達のおしまい」(『痛々しいラヴ』祥伝社・所収)の「あたし」は、学生時代の女友達、マチダと卒業以来4ヶ月ぶりに会って酒を飲む。
酒に酔いながらも、「あたし」は、さめている。
あたしは早くマチダがべろべろによっぱっらってうるさくてたのしくなるのを待ちかまえてた
酒にたよるのもバカだけど自分はよわないようにしてお互いでお互いのでかたを計算してる
あたしたちはサイアク
一息ついて、お互いにタバコを吸い始める。
あたしたちはただ口をふさぐためだけみたいにタバコを吸う
会話はぜんぜんにつまってませんよ
リラックスしていてとても楽しいですよっていう顔をして
だけど吸いガラの数は正直だ
居場所の距離を感じ、もはやマチダが友達でないことに、「あたし」は気付く。
マチダは言いかたを間違えている
あんたが好きなのはそーゆー世界じゃなくてそーゆー世界を持ってるその新しい友達でしょ?
友達とは幻想のものだ。いや、友達に限らない。あらゆる他人は、幻想なのだ。
それでも人は、他人を求める。