戦場の懐

 戦場で人を撃つという選択もあれば、だれも撃たず、敵味方を関係なしに救助に徹するという選択もある。
ハクソー・リッジ』(米国・オーストラリア、メル・ギブソン)の衛生兵は、砲弾の飛び交う戦場で、敵味方関係なしに人命救助に徹する。米国映画の英雄にありがちな、銃を持って、力づくで抗戦するという手段はとらず、いかに負傷者を安全なところに移すかに、全力を尽くすのだ。軍隊に属しながら、銃を持つことを拒んだ彼は、仲間にいじめられたり、軍法会議にかけられたりもするが、信仰は決して曲げなかった。
 彼のような良心的拒否者を許容できるのが、米国の懐の深さなのだろう。

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