被災者の対話

 津波災害から半年後、ドキュメンタリー『なみのおと』(日本、濱口竜介・酒井耕)は、被災地の人々の対話をカメラが見つめる。監督やカメラの存在を意識させ、語る者や観る者に、被災のこわさと、人や地域の変化を感じさせた。

 被災者は親族など信頼できる相手と対面する。当時とその後を細部まで語ることで、本心をさらした。被災と言っても、体験も心境も、人それぞれだ。その多様性こそが、失われたものが、どれだけかけがえのないものであったか、それを取り戻すべく、いかに人がこだわっているのかを、実感させるのである。

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