怒りは去ったのか

 2020年11月の段階で、米国を代表するジャーナリスト、ボブ・ウッドワードは、トランプと政界関係者の厖大なインタビューをもとにした著書『RAGE 怒り』(日本経済出版)で、トランプの業績を判断し、重職には不適格と結論付けている。説明能力のないトランプの功績を過大に評価することによって、ごまかされていたことが、彼と共に政権にかかわった内部の人間たちの見方を踏まえたことで、実像が明らかになっている。

 巨大な国を支えてきた知的階層にとって、トランプ的なものにかじ取りを任せるのは、国家を転覆するものとして、すぐにでも歯止めをかけるべき事態だった。バランス感覚にたけた米国の支配層は、昨年の大統領選によって、ぎりぎりのところで踏みとどまったと言える。それでも、トランプ的なものを支持し、再来を望む層は、格差社会の中では、依然として残存する。大統領が交代しても、コロナ禍における巨額の財政負担は、近い将来、新たな問題を生じさせることも、覚悟せざるを得ない。

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