師匠説

 エッセイでもなければ、評論でもない。『会いに行って 静流藤娘紀行』(講談社)は、師と仰ぐ藤枝静男笙野頼子がささげた「師匠説」だ。

 志賀直哉的な強さのない作家。残された小説や手紙からは、男性性に甘んじたり、戦争を肯定する勇ましさはない。性差を超え、争いを超越し、人間界から離脱し……。世界を俯瞰する視点は、女性である笙野の小説にも、受け継がれている。

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