道化師の悲哀

『ジョーカー』(米国、トッド・フィリップス)は、サイドストーリーの位置づけをわきまえつつ、独立した物語である。コミックスならではの異様なキャラクターだが、この道化師に奇妙なリアリティーがあるのは、彼が犯罪者に至るまでが実に丁寧に描かれているからだ。

 親思いの優しさがあり、人を笑わせることを好んだ男が道を外さずにはいられなかったのはなぜか。母親や仕事仲間を殺し、一線を越えてしまった彼の悲哀は、人間共通の暗部をえぐっている。     

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