山間部の町で死んだ女性をめぐる人々の思わぬつながり。町だけの話かと思いきや、アフリカのネット詐欺まで絡んでいたことが発覚する。『悪なき殺人』(フランス・ドイツ、ドミニク・モル)は、もはや一人では俯瞰しようがない人間社会を浮き彫りにする。
山間部の町で死んだ女性をめぐる人々の思わぬつながり。町だけの話かと思いきや、アフリカのネット詐欺まで絡んでいたことが発覚する。『悪なき殺人』(フランス・ドイツ、ドミニク・モル)は、もはや一人では俯瞰しようがない人間社会を浮き彫りにする。
公務員に対しては、予算を削り、職員を減らすと言った政策が、あたかも有益であるかのように宣伝されがちだ。行政の仕事や価値は、市民なり、政治家なりにどこまで理解されているのか。『ボストン市庁舎』(米国、フレデリック・ワイズマン)では、民主的な市長のもと、住民一人一人の生活に不自由のないよう、誠実に職務をこなす職員の姿が紹介される。
あまり知られていない多種の職務が、どれほど興味深く、有効なものなのか。社会は少数の特権的な立場の占有物なのか、それとも、多数の人々によって成り立っているものなのか。映像を見つめるだけで、実感できる。
『庵野秀明展』(新国立美術館)では、幼少期から好んだ漫画やアニメなどが披露され、映像の鬼才の軌跡が一望できる。『新世紀エヴァンゲリオン』的なテーマ性やストーリー性は、後年、付与されたもの。本来の資質は、アニメーターにあり、若き日に作った動画には、躍動感と、確固としたイメージがある。